ヒューヒュー・ヒューマン2.0〈感想編〉
ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)
- 作者: 渡辺千賀
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: 新書
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『ヒューマン2.0』なんて、まるで“アニオタ”““SFオタ”(特に“ガンオタ”?!)を引っ掛けそうなタイトルだけど、“ニュータイプ”なんかちっとも出て来ない。よくある“世代論“でもない。まあサブタイトルよく読んでってことで、米国西海岸・“シリコンバレー”をモデルにしたテーマは“ワークスタイル2.0か。
シリコンバレー移住○数年の千賀さんのオン/オフ生活は“初代アルファブロガーイレブン”たる彼女のブログに、縦横存分に書かれてる。でも、梅田望夫さんの『ウェブ進化論』がそうであったように改めて整理されたパッケージを読み直すと、ブログに埋め込まれていたメッセージが数々浮かび上がってくる……というか、そもそも“本“ってそういうモノか。
語られてるのは全くシリコンバレー絶賛論ではない。そこは天国でも極楽でもパラダイスでも何でもない。米国は特殊な国だとは自分も思うけど、そんな国の中でもそこがさらに特殊なエリアであることあきるほど強調されている。そして、そこで幸福に暮らしてるのがどんなに特殊な人であるかもね。
ある意味、この本は「シリコンバレーに来るな!」と言ってるようにも読めてくる。「半端な気持ち(と能力)でシリコンバレーに来るんじゃないわよね!」って。一瞬、“日本人技術者一万人、シリコンバレー移住計画“を掲げる「JTPA」(Japanese Technology Professional Association)ってNPOの代表務めてる人の言葉とは思えなくもさえ。でも、これは「こんなところだけど、それでも来るの?」と覚悟を求めてスクリーニングしてると考え、納得したり。シリコンバレー移住の密かな一次試験というか振るい落とし。
しかし、そこのパラダイスっぷりもダークサイドも同じようにおもしろげに笑い飛ばしてるものだから、シリアルに受け取れなくても仕方なし。「なんて明るくて楽しそうなところなんだろう!」って、よく誤解される可能性大。自分も読後にもう一度、欄外の注釈だけ読み直してしまいました。『なんクリ』世代ですもんで。:p
日本の会社・組織はシリコンバレーの方向性に向かうことでしょう。“会社”進化論のレファレンスモデルがそこにあると信じ込んでいるのだから……特に電機やIT系。中でもシニアな経営陣。
しかし社会全体がシリコンバレー生態系を採用できない以上、その構成分子の会社たちは一部分の取り出しとローカライズ展開するしかなく、試行錯誤というか失敗を繰り返すのだろうね−−某社他の“成果主義“もそうして始められたものだったね。それでもそこが失敗から学習できればよし、よその失敗例で自社を磨ければよし、そうして社会全体が“進化“すればよし。何れにしろ、方向性はそちらにあるのだから。
若かろうが年寄ろうが大志または野望があろうがなかろうがITでもバイオでもそうでなくても大勢の社会人と学生さんに読んでほしいなあ。“シリコンバレー幻想”を、様々な誤解やカン違いを打ち壊すために。そのための知識のエッセンスは詰まってると思う。実在するユートピアの光も影も描いたガイドブックとして。リアリティない別世界の自分に関係ない絵空事と感じる人も少なくないだろうけど、とにかくGoogleみたいな会社だけ見て「シリコンバレーは進んでるー」って過度にあわてたり焦ったりするのは違うってことで。>特に大規模企業の人たち
自分は自分の働くポートフォリオってものを考えてみることにしよーっと。目指せ、“ポートフォリオワーカー 1.0“!(アハハ。