「選手のいない写真集 GERMANY '06」

少し前に今年と去年のうちの選手の結婚式を調べた時、勇人の式のことを書いたブログを見つけていた。2008年1月7日の「おめでとう」というタイトルの日記。温かい言葉ときれいな写真があった。写真の、構図の取り方や光の加減がステキだった。何しろ勇人がカッコいい。
気になって、前後の日記を読んでみた。プロだった。岸本剛、フォトグラファー。

一昨年の12月28日の日記(「奇跡的な写真」」)を開く。

最近、サッカーの話が出てこない。それもそのはず、サッカーの取材に行っていないし、試合もずっと見ていない。あっ!話しありました!しかもとてもめでたい話しで!昨夜、佐藤勇人くんから電話があり、1月5日に行われる結婚式の打ち合わせをしました。彼の結婚式の撮影を頼まれたのは2ヶ月前の事。『FOOTRACKでやった「選手のいない写真集」のような感じで、式を切り取って欲しい!』との事だったので、喜んで引き受けさせて戴きました。幸せな顔、幸せな仲間、幸せな涙、、。朝から晩まで、その大事な一日のドキュメントを、しっかり記録したいと思っています。


「FOOTRACKでやった「選手のいない写真集」」。あぁ!

ページ右下の「Links」の一番上にあった「FOOTRACK」を開く。ずっと探していたものが見つかった。

2006年夏、ドイツ・ワールドカップ。その頃、何がきっかけだったか、どこで紹介されたかはもう忘れてしまったけど、6月1日に始まった彼のブログをずっと追いかけていた。

日本代表というチームにはしばらく前から期待も興味も失くしていたけれど、'98年・'02年と生身で体験したワールドカップはスタジアムの中だけでなく、街の空気や人々のありようを含めてほぼ全てが魅力的であり、そんなお祭りに似た気分を何かしら感じ取りたかったのだと思う。彼のブログはそんな現場のシーンをうまく切り取って伝えてくれていた。

選手が登場しない写真集を作りたいという話は当初から上がっていた。そのための取材であり、ブログだったとも。
しかし、企画を持ち込んだ出版社から、そんな写真集は売れないと断られたという。そこで、ある程度部数が見込めると説得するための材料としてネットで署名を集め出した。その数1,025人。もちろん自分も加わった。
その後、写真集のことはすっかり忘れてしまっていた。何しろあの夏はいろいろなことがあり過ぎた。

それがこの『選手のいない写真集 GERMANY '06』だった。二年半ぶりの邂逅というか。
限定1,000部、署名したら特価\4,000。買うしかないっしょ! 超緊縮財政の折りだけど。

それがやっと届いた。めくる度にうれしくなるような写真の数々。時にはさびしく。

勇人のメッセージが載っていた。広山や福田健二のも。なぜか阿部勇樹の親父さんからも。

岸本くんは高校サッカー部の教え子です。「サッカーはフィールドの11人だけで戦うんじゃない。みんなで戦うのだ」と仲間意識の大切さを教えました。岸本くんの写真からは「選手だけが主役じゃない」という声が響いてます。そこに共感します。サッカーが好きでサッカーを見つめていたらサッカーを突き抜けて結局人間が深く好きになった。そんな岸本くんの視線に感動します。
大木誠 ジェフユナイテッド市原・千葉所属/元育成部コーチ(1992〜2001年)


そういうことか。
両開きのページにびっしり1,025人分の名前。自分の名前もあった。

2010年、また、そんな空気を味わいたい。願わくばそこに"日本"がいることを。