奪取力

少し前に知人が「サッカーコラム J3 Plus+」というブログの「あなたは守備的なポジションの選手をきちんと評価できますか?」という記事を紹介してくれた。難しいことだけれども評価の指標の一つとしてインターセプト数を目安にできないか?という主張。その2008年のトップは東美だった。4位に浩平の名前があった。

1 下村東美 千葉 75
2 土屋征夫 東京V 73
3 今野泰幸 FC東京 67
4 工藤浩平 千葉 64
5 大谷秀和 柏 63


東美は『サカダイ』のブロック数のランキングでもNo.1だった。2007年は第12位。“奪う"選手としてトップクラスと言ってよいだろう。

ただし、文中にもあるとおり「比較的、相手に攻められる回数が多かったというチーム事情」故の数値と軽んじられる場合が多い。特に「下村イラネ」の連中に。このブログ主のように「立派な数字である」と言える人もいるのだが。

ところで野球やサッカーのデータの収集と分析をビジネスにしているデータスタジアムという会社がブログを開いている。題して「サッカー データスタジアム」。データのプロだけあって勉強になる記事が豊富だ。
その「ミラー監督が与えた影響とは?」というエントリに次の一節があった。

そして、注目したいのは相手の攻撃を読んでパスを途中でカットするインターセプトの数の上昇です。個人の力量でのものもあるでしょうが、チームとして守備のコンセプトが確立し、パスコースの限定やポジショニングがしっかりとしていなければ増加は見込めないのではないでしょうか。


そう、単にインターセプトする機会が多かったから回数が増えたなんて話ではないってこと。東美にしろ浩平にしろチームの戦術に従って自らの役割を果たした結果が数字に表れたのだ。

実際に自陣の30メートル以内に進入された数は約5回も減少しています。スタッツはボールのある場所でカウントされるので、数字で現れない部分は確かにあります。ですが、回数が減少している項目があるにもかかわらず、読みのある効果的な守備が見られる。これは、シュートを打たれた際にも行われていたのではないでしょうか。(図8,9)


そして、それらのインターセプトによって敵チームのゴール付近への進入を阻んでいたことも示されている。。

相手の攻撃回数を減らし、失点のリスクそのものを軽減させたこと。同時に、シュートに対しては以前よりも適切なアプローチを行い、打たせるけれどもゴールを割らせなかった。そうして残留を手繰り寄せたのかなと感じさせる結果が見られたと思いますがいかがでしょうか。


引用した部分だけでなく記事全体を読めば「中盤を厚くした守備」が実践され、結果的に失点を減らすことができただろうことがわかってくる。

さらに「ボールを奪った後と奪われた後」というエントリを読むと、ボールを奪ってからの得点の割合が多かったことがわかってくる。

逆に、ボールを奪った後でゴールに結び付けた割合が高いチームは千葉と神戸です。ともに総得点の半数以上を奪った後の攻撃で挙げていながら、シュートに結び付けた割合が低かったため、奪ってからのシュートをより増やせていれば得点も増えていたことでしょう。


必ずしも中盤だけの数字ではないにしろ、ボールを奪って失点を減らし、得点に繋げるという仕事の担い手として、東美の貢献は決して小さくなかった。

「あなたは守備的なポジションの選手をきちんと評価できますか?」と問われたら、自分も難しいと答えると思う。でも、そういう視点は常に失わないように見ていきたい。何よりうちの選手については、ね。