聖地にて(@国立)

アウェーなのにホームのような感覚は同じ側に位置取って最大最上の歓喜を味わった二年半前の記憶がシンクロしたからだろうか。あの時も同じ側にいた聖地・国立。

その時におよぶべくもないものの、ゴル裏ド真ん中から見渡した黄色い全景は予想を超えて壮観だった。アウェー自由席を拡張させるだけの動員があったとは。スカパーの実況がクラッキだと知った朝から続くいい感じ。

選手紹介。今野に対する拍手に余裕を感じていい感じ。佐原、さらにニューへのブーイングはもちろん容赦なく。

そうそう、「ユルネバ」は伴奏なしで聴いてみたいといつも思う。たとえ本家と違っても。

試合。

一週間前の日記に書いた。

とにかく今、サッカーの神様に「一番ほしいものは何?」と聞かれたら「巻のゴール」と答えると思う。
頼んます。>巻


ありがとう。>サッカーの神様……じゃなくて巻

巻を、FWの、攻撃の、チームの柱にすることの正しさを証明するようなゲームだったと思う。まじめというか愚直なサッカー。エレガンスよりも速さと強さを追求する。……いや、追求はできてなかったか。

とにかく。
ミラーさんは自分を信じている人だ。自信というより信念の主……というかガンコ者。昇平の負傷は想定外だっただろうけど、後半半ばの交代はプランどおりだったのではないか。先手を取る。JFKが応じるカードの切り合い。

'00 昇平out 和田さんin
'18 ヨネout ヤザーin
'19 石川直out 鈴木達in
'24 大輔out 東美in
'24 米本out 浅利in

東京の交代もプランどおりだったのかも知れない。
でも、サイドからの切れ込みが厄介だった石川直が去ったのは幸いだった。ヤザーは簡単には止まらんよ。ニューと共にセカンドを拾いまくってた米本が去ったのも幸いだ。
ヤザーはボールを抱え動き、東美はボールを奪い散らす。和田さんの低くて速いマイナスのクロスに石垣キャンプを思い出す。それだよそれ。

'33 カボレout 赤嶺in

おまけにカボレもいなくなった。二人どころか三人掛りでも抜かれてたボールキーパーが。ポゼッションの優位。敵陣、つまりこちら側での動きが活発になる。

昨日の「サッカーデータスタジアム」より。

【問3】
J1リーグの5節において、最も多く空中戦を行った選手は誰?
※空中戦=浮いたボールに対し、敵とともにジャンプして競り合うこと

解答:巻誠一郎(千葉)26回


最前線の空の戦。序盤の苦戦も、90分間跳び続ける意志が逆転した。最後衛から精度高く届く若き意志を糧に。送り手はぐぴお。スタメンってだけで女のコを泣かすヤサ男。

86分、ゴル裏に訴えるような巻のゴール。ヤザーのいたずらっぽいスローインから、和田さんにヒントをもらったようなアレのクロス。次第に高まっていた“黄色いサポーター"が爆発する。天童でゴールを失ったのと同じ時間だよ。残り五分弱って効くわ。さらに増強する声の圧力。

92分、ぐぴから巻へ、深井へ、ヤザーへ、再び深井へ。!! 二度目のさらに巨大な爆発。
笛が鳴って、初めて地面に倒れることを自らの体に許す深井。90分間走り続ける意志の塊を三度目の爆発が包み覆う。湧き上がる咆哮、歓喜をまとう号泣。

再び二年半前を思い出す祝祭の空間で去年立ち合えなかった初勝利に包まれる幸福をしばし味わい続ける。大げさなようだけど本当だ。

対岸から聞こえるブーイングに騒ぎ過ぎてごめんなさいよと我に返る。しかし、それが自軍の戦手に向けられたものと知って切なくなる一瞬。

でも、こめんなさいよ。よろこびは止まらない。

P.S.
次からは今現在2位(浦和)、3位(新潟)、1位(鹿島)と続く三連戦。毎節猫の目順位のJとはいえ、ここで獲った勝ち点3の重みを冷静になってから思い知る。